若手精神科医の覚書

若手から中堅の精神科医が、精神科初学者の学習に向いた本の紹介をしています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

せん妄でよく使う向精神薬

リエゾン診療のせん妄で私が主に使用する薬剤についてです。 選択肢が多いことは良いことです。

精神科 豆知識シリーズ ⑫低栄養状態の患者で見かけた不思議な検査値

低栄養の患者に栄養を投与。しばらくしてからMCVが増加傾向となったときに考えること。

精神科 豆知識シリーズ ⑪ビタミンB1、B12、葉酸が減少するまで

ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸の貯蔵期間の目安は知っておくと便利でしょう。

精神科の奥深さ ★神田橋條治 精神科講義

★神田橋條治先生 林道彦 かしままりこ 編 // リンク ・神田橋條治 精神科講義 以前に紹介した神田橋先生の医学部講義と同じ系統の本です。 psy-book.hatenablog.com 精神科講義は後半からオカルト的要素もでてきますが、それでも非常に多くを学べる本です。 …

精神科 豆知識シリーズ ⑩併用禁忌 スボレキサントとレンボレキサントの違い

個人的には禁忌かどうかは大きな問題。 スボレキサント:ベルソムラ®とレンボレキサント:デエビゴの大きな違い。 特にリエゾン診療でこの違いが効いてくるか!?

精神科 豆知識シリーズ ⑨エスシタロプラムとCYP2C19

エスシタロプラム:レクサプロ®がCYP2C19に代謝されることはご存じでしょう。 しかし、日本人にpoor metabolizerがどの程度いるかまでは知らない人が多いのではないでしょうか?

初期研修医向け 基礎的参考書 救急外来のオススメ本

救急外来は初期研修医は「ほぼ」避けては通れない鬼門です。 軽傷かに見える重症患者、軽傷なのに訴えが強くて帰ろうとしない患者、精神科領域の患者、色々な基礎疾患がある患者など、様々なシチュエーションでの患者対応が必要になります。 初期研修医にと…

精神科 豆知識シリーズ その目的

精神科豆知識シリーズの目的です。 大層な目的ではなく、精神科診療で見落としがちなTipsや、後輩への雑談ネタになりそうな話題を扱っています。目標は999!というのは無理だと思うので、ぼちぼち思いつく限り書き続けたいと思っています。 psy-book.hatenab…

精神科 豆知識シリーズ ⑧セロトニンと血小板の凝集の関係

抗うつ薬の添付文書を見ていると、易出血性の副作用があると記載されています。 この理由を皆さんご存じでしょうか? これは抗うつ薬の薬理作用である、セロトニン再取り込み阻害作用が原因と考えられています。 では、セロトニン再取り込み阻害作用と易出血…

精神科 豆知識シリーズ ⑦パリペリドンの意外な禁忌 知ってる人は知っている、知らない人は覚えてね

パリペリドン:インヴェガ®は抗精神病薬で、リスペリドン:リスパダール®の活性代謝産物です。 第二世代抗精神病薬、セロトニン・ドーパミンアンタゴニスト:SDAと呼ばれており、錐体外路障害などの副作用が第一世代抗精神病薬と比較し出現しにくいというの…

精神科 豆知識シリーズ ⑥意外と盲点?オランザピン筋注と糖尿病

精神科臨床において、オランザピン:ジプレキサ®は使いたいけど使いにくい薬剤ではないでしょうか? 鎮静もかかり、抗精神病作用もあり、急性期では非常に有用な薬です。 しかし、抗コリン作用が強い、糖尿病に禁忌、体重が著しく増加するといった使いにくい…

精神科 豆知識シリーズ ⑤喫煙と抗精神病薬 追記2020年3月8日

喫煙が薬物の血中濃度を変化させるということは皆さんご存じでしょう。 これは、煙中に含まれる多環式芳香族炭化水素が肝臓のCYP1A2を誘導するからと考えられています。 多環式芳香族炭化水素ってなんなんだろうか。 さて、CYP1A2で主に代謝される抗精神病薬…

精神科 豆知識シリーズ ④食後服用と血中濃度の大幅上昇

これは他にもあるかもしれませんが、とりあえず思いついた薬剤を三つ挙げておこうと思います。 食後に内服すると大幅に血中濃度が上昇、逆に空腹時に飲むと血中濃度が上昇しにくい薬剤についてです。 ずばり ペロスピロン:ルーラン® ブロナンセリン:ロナセ…

精神科 豆知識シリーズ ③バルプロ酸の血中濃度を下げる抗菌薬

さて、これは有名と思いますが、周囲の医者はあまり知らなかったので取り上げておきます。 抗てんかん薬、気分安定薬として使用されており、精神科薬物治療では無くてはならぬ存在のバルプロ酸! 抗生剤の投与でバルプロ酸の血中濃度が低下してしまうことに…

精神科 豆知識シリーズ ②精神科医が見落としがちなセロトニン症候群の原因薬剤

セロトニン症候群は抗うつ薬の過量使用で14%、通常使用だと発現率が1%以下と報告されているようです。 診断基準など細かいことは各自勉強してもらうとして、今回は見落としがちなセロトニン症候群を誘発しうる薬剤について言及しようと思います。 ①西洋オト…

初期研修医向け 基礎的参考書 感染症のオススメ本

初期研修医向けの感染症についての本です。 ちなみに、精神科医も単科精神科病院では細菌感染症に対して抗生剤を自分で選択し投与する必要があります。 精神科後期研修医の医師や、精神科志望の初期研修医もきちんと勉強しておきましょう。 こういった、病棟…

リエゾン診療 向精神薬の使い方まで せん妄診療の基本事項 ①本当にせん妄か

せん妄への薬物治療に関して、後輩から質問が多いのでここに備忘録として書き連ねようと思います。 エビデンスが乏しい分野なので、経験に基づいた薬物投与方法になることはご容赦ください。なお、ここに記載されている通りの薬物投与で問題が生じた場合、私…

神戸市神出病院 錦秀会グループ 患者への虐待、あってはならないこと 精神科病院

入院患者を虐待した疑いで、神戸市の神出病院の看護師6名が逮捕されたと聞いた。 精神疾患、精神科病院に入院中という環境で虐待された患者、2020年にもなって悲しい限りだ。 精神科の患者は日常生活においても、一般医療においても常に差別される対象だ。こ…

部分的には良いけれど、後期研修医レベルならこれだけだとちょっと寂しい ★精神科の薬がわかる本 第4版

★姫井昭男先生 // リンク ・精神科の薬がわかる本 第4版 私も初期研修医の時にお世話になった本です。 向精神薬についての基本的な内容についてまとめてくれているので、初学者からするととっつきやすく理解しやすい点が素晴らしいです。 改定されるごとに内…

一般診療での精神療法、少しずつ着実に ★精神療法を学ぶ

★成田善弘先生 // リンク ・精神療法を学ぶ 成田先生の精神療法についての本です。以前、「精神療法家の仕事」を紹介しました。 非常に読み易く、初学者でも学ぶべきことが多い本でした。 さて、「精神療法を学ぶ」も同様に平易な文章でわかりやすく、しかし…

避けては通れないせん妄診療、理論から実践へ ★ポケット版 改定 せん妄の臨床 リアルワールドプラクティス

・和田健 // リンク ・ポケット版 改定 せん妄の臨床 リアルワールドプラクティス せん妄は意識障害を背景とし、様々な症状をきたす病態です。 単科精神科病院は外来患者をせん妄と診断し、身体疾患の鑑別目的に内科受診をしてもらうというケースが多いと思…

コンパクトだが重厚な内容、気分障害の超まとめ ★気分障害ハンドブック

★S.Nassir Ghaemi 監訳 松崎朝樹 // リンク ・気分障害ハンドブック ハンドブックというと、実務上必要な内容が主での持ち運びやすい本、内容は少し浅めというイメージが湧くのではないでしょうか? この本は大きさ以外はハンドブックのイメージと程遠い本と…

精神科医の基本技術。診療技法を学ぶために! ★こころの病を診るということ 私の伝えたい精神科診療の基本

★青木省三先生 // リンク ・こころの病を診るということ 私の伝えたい精神科診療の基本 精神科の診療技法について書かれた本としては新しく、なんと2017年に出版されています。 過去にも精神科の診療技法についてはいくつもの名著があり、それは時代を経ても…

「生活習慣病としてのうつ病」の実践!精神科プライマリケアの症例対応に目を向ける ★プライマリケアの精神医学 -15症例、その判断と対応

★井原裕先生 // リンク ・プライマリケアの精神医学 -15症例、その判断と対応 psy-book.hatenablog.com 「 生活習慣病としてのうつ病」の井原裕先生の症例検討本です。 序章にこの本のすべてが記されています。 この本は、プライマリケア精神医学に関わる皆…

実践的内容。精神科の援助における困ったケースの対応法 ★援助者必携 はじめての精神科

★春日武彦 // リンク ・援助者必携 はじめての精神科 援助者必携と銘打っており、非常に実践的な内容となっています。若手医師にも多く絵うものがあります。めちゃくちゃおすすめです。 春日先生自体がどんな人かはわかりませんが・・・。 実際に目を通して…

珍しい!アトラス的睡眠本 ★睡眠がみえる!

★河合真先生、立花直子先生 // リンク ・睡眠がみえる! 日本では睡眠を専門的に行っている施設は非常に限られています。睡眠時無呼吸症候群は見ていても、それ以外の睡眠関連疾患は診療しないという医師は多いです。 一方で、精神科医は睡眠についての知識…

誤診は起きる。誤診を誤診で終わらせないために ★誤診のおこるとき 精神科診断の宿命と使命

★山下格 // リンク ・誤診のおこるとき 精神科診断の宿命と使命 タイトルから、誤診、誤診、誤診とぎょっとしますね。 医者にとっては非常に苦しい「誤診」という言葉、それを敢えてタイトルにした本です。 著者の論として、診断は病名を単にラベリングの作…

官能的評価シリーズ 前作よりも新しい薬が! ★精神科のくすりを語ろう その2 患者による官能的評価の新たな展開

★熊木哲夫先生 // リンク ・精神科のくすりを語ろう その2 患者による官能的評価の新たな展開 官能的評価シリーズです。出版は2015年と比較的最近であり、オランザピンやアリピプラゾールに関しても扱われています。 こちらが一作目です。 psy-book.hatenabl…

官能的評価シリーズ 精神科のくすりの雰囲気を知る ★精神科のくすりを語ろう 患者からみた官能的評価

★熊木哲男先生 // リンク ・精神科のくすりを語ろう 患者からみた官能的評価ハンドブック 官能的評価シリーズです。このシリーズは3冊出版されています。 この本はめちゃくちゃ「ふわっ」とした本です。薬理作用などを堅苦しく記した本ではありません。 精神…

こんなとき私はどうしてきたかを読んだ医師へ、精神科医としての次のステップを ★[新版] 精神科治療の覚書

★中井久夫先生 // リンク ・[新版] 精神科治療の覚書 中井久夫先生の名著です。「こんなとき私はどうしてきたか」は精神科医としての「らしさ」を育む本でした。 psy-book.hatenablog.com この[新版] 精神科治療の覚書は、もっと実践的な内容です。 精神疾患…