若手精神科医の覚書

若手から中堅の精神科医が、精神科初学者の学習に向いた本の紹介をしています。

コンパクトだが重厚な内容、気分障害の超まとめ ★気分障害ハンドブック

★S.Nassir Ghaemi 監訳 松崎朝樹

気分障害ハンドブック
 
ハンドブックというと、実務上必要な内容が主での持ち運びやすい本、内容は少し浅めというイメージが湧くのではないでしょうか?
この本は大きさ以外はハンドブックのイメージと程遠い本となっています。
気分障害について、歴史、診断、薬物治療、薬物の説明まで事細かに説明されています。
これ一冊を読みこみ、使いこなせれば、気分障害の治療で困ることはかなり減るのではないでしょうか?
双極性障害の治療薬の項目には、新規抗てんかん薬(流石にラコサミドなどは含まれていません)の説明もされています。
ラモトリギンは当然のこと、トピラマート、ガバペンチン、ゾニサミドについての記述があるのは嬉しいです。
当然、リチウムやバルプロ酸といった日本で通常使用される気分安定薬に関しては詳しく記載されています。
また、抗精神病薬もオランザピン、クエチアピン、クエチアピンの徐放製剤、アリピプラゾールについても十分に記述されています。
後期研修医は、この気分障害ハンドブックに記載されている内容を正確に理解し、治療マネジメントを行えば大きなミスはせずに済むと思います。
統合失調症は松崎先生の「統合失調症のみかた、治療のすすめかた」、気分障害気分障害ハンドブックで勉強するのがオススメです。

psy-book.hatenablog.com

松崎先生が「気分障害のみかた」的な本を出すと風のうわさで聞きました。もしそれが出版されれば、気分障害のバイブルになるかもしれません。

それまでは、「気分障害ハンドブック」をしっかりと理解するのが望ましいですね。