若手精神科医の覚書

若手から中堅の精神科医が、精神科初学者の学習に向いた本の紹介をしています。

珍しい!アトラス的睡眠本 ★睡眠がみえる!

★河合真先生、立花直子先生

・睡眠がみえる!
 
日本では睡眠を専門的に行っている施設は非常に限られています。睡眠時無呼吸症候群は見ていても、それ以外の睡眠関連疾患は診療しないという医師は多いです。
一方で、精神科医は睡眠についての知識はあまりないにも関わらず、睡眠薬を処方するだけで睡眠診療をしているつもりの医師が大多数です。
この本の第一部は「正常な睡眠と覚醒」となっています。
ここでは睡眠診療におけるTipsから、日本人がいかに睡眠不足かについて記述されています。日本人の睡眠不足の問題は根強いため、このように資料としてまとめてくれていると患者に提示しやすく、非常にありがたく感じます。
そして、後半では睡眠ポリグラフ検査について、脳波などの情報を交えて非常にわかりやすくまとめられています。
既に睡眠診療を十分に学んだ医療者は物足りないと感じるかもしれません。しかし、初学者にとっては、アトラス的に学べるという点で有用です。
 
患者や他科の医師などから、精神科医は睡眠についても詳しいと勘違いされているケースが非常に多く、また精神科医も自信がそれほど詳しくないということに気付いていません。
単なる睡眠薬処方のみの睡眠診療にとどまらず、少しの睡眠衛生指導くらいはできるように勉強したいものですね。