若手精神科医の覚書

若手から中堅の精神科医が、精神科初学者の学習に向いた本の紹介をしています。

一般診療での精神療法、少しずつ着実に ★精神療法を学ぶ

成田善弘先生

・精神療法を学ぶ

 

成田先生の精神療法についての本です。以前、「精神療法家の仕事」を紹介しました。

 

非常に読み易く、初学者でも学ぶべきことが多い本でした。

さて、「精神療法を学ぶ」も同様に平易な文章でわかりやすく、しかし奥深い内容となっています。

第一章の「精神療法をどう学ぶか」から、突っ込んだ内容です。

私達が「精神療法家を志す」動機についてメスを入れています。

①人間の心を探求したい

②自分を知りたい

③悩み苦しむ人を救いたい

④自分を救いたい

⑤収入を得たい、名声を得たい

このような精神療法家になりたいと志す動機についての成田先生の意見、治療にあたる上での注意点について言及されています。

精神科医である以上、患者との関わりの中で精神療法を行うことは避けて通れないでしょう。自己中心的、自己愛的な診療を行い続けるというのが実は簡単なことです。

一方で、精神科医、専門家として自分を律し、日々の臨床を継続することは非常に苦労を伴います。その苦労を実りあるものにするにはどうすればよいかを成田先生の本を読むと学べるのではないかと思います。