官能的評価シリーズ 精神科のくすりの雰囲気を知る ★精神科のくすりを語ろう 患者からみた官能的評価
★熊木哲男先生
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・精神科のくすりを語ろう 患者からみた官能的評価ハンドブック
官能的評価シリーズです。このシリーズは3冊出版されています。
この本はめちゃくちゃ「ふわっ」とした本です。薬理作用などを堅苦しく記した本ではありません。
精神科医がある薬剤を使用する際にどのような効果を期待して処方するのか、患者が内服した場合にどのような飲み心地があるのか、についての議論が繰り広げられています。
官能的評価というのは、大きく分けて3種類あると私は考えています。①服薬体験をした人(精神科の患者さんが主)によるもの②投薬体験をした人(精神科医が主)によるもの③服薬・投薬をともに体験した人(自主服薬を行う精神科医)によるもの
官能的評価は上記のようなものとされています。昔の先生に話を聞くと、結構一通り自主服薬した経験があると耳にします。一方で、私達若手精神科医で自主服薬をしているケースは稀ではないでしょうか?
薬理作用を勉強するだけでは理解できない、その薬の「らしさ」を学べる本です。
この本では
・抗不安薬(エチゾラム・クロチアゼパム、ジアゼパム、ロフラゼプ、アルプラゾラム、ロラゼパム)
・睡眠導入薬(フルニトラゼパム、ブロチゾラム、トリアゾラム、ゾピクロン、ゾルピデム)
・抗うつ薬(パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン、アモキサピン、ミアンセリン)
についての官能的評価が扱われています。
患者側の服み心地を中心とした薬剤評価を聞く機会は滅多にないことだと思います。
また、薬についての情報のみならず、患者が治療を受けるにあたってどのように感じているか、考えているかという点についても知れるのはこの本ならではでしょう。
普段とは異なる視点から勉強することで、薬剤についての知見を深めましょう。
診察室で患者から質問を受けたとき、「ある人はこの薬の服み心地について、こういう風に言ってると聞いたことがありますよ」と伝えることができるのも、こういった「官能的評価」を知ることの利点だと思います。